前例のないAR計測を「説明なしで使える」検査体験に。UI/UXの再設計が評価
このたび、配筋検査ARシステム「BAIAS」のiPad Pro用アプリケーションが、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2026年度グッドデザイン賞」を受賞したことをお知らせします。
今回の受賞は、2025年7月に実施したユーザーインターフェース(UI)およびユーザー体験(UX)の全面的な再設計が評価されたものです。建設現場の配筋検査という専門性の高い業務を、AR(拡張現実)技術に触れたことのない利用者でも迷わず進められる体験として設計し直した点が認められました。

■審査委員による評価コメント(公開コメントより)
高価な機材を購入し難しい操作を覚えなくてはいけない既存のデジタル検査に比べ、iPad Pro 上で簡単に計測作業ができるようにした点が高く評価された。リテラシーや利用状況に大きな差がある建設現場のような現場で、顧客から高く評価されるようなサービスまで完成度を上げている点が素晴らしい。 深刻な人材不足に直面する現場の負担を劇的に減らすと同時に、今後の建設現場におけるDX推進を力強く牽引していくことが期待される。
出典:グッドデザイン賞 公式ウェブサイト 受賞ギャラリー(https://www.g-mark.org/gallery/winners/38001)
■受賞概要

■評価されたデザインのポイント
① 前例の乏しいAR計測という行為を、ユーザーの既存体験に橋渡しするUIとガイダンスで着地させた
仮想空間上にAR鉄筋を配置し、精度を伴う検査データとして取得するという体験は、建設業界はもとより日常の中にも似通ったものがありません。画面設計とインタラクションには、ゲームや3Dモデリングツールなど、利用者が既に知っている体験との類似性を意識して取り入れ、最小限の学習で使い始められるようにしました。
② 検査プロセスの徹底分解と再統合。複数モードを共通UIパーツで一貫した検査体験として再設計した
既存の配筋検査の手順を細かく分解し、検査経験者やゼネコンへのヒアリングを重ねて業務の流れを分析しました。そのうえで、配筋間隔・かぶり厚・重ね継手など計測モードごとに異なっていた操作を共通のレイアウトとUI部品で組み直し、どのモードでも同じ流れで検査が進むようにしました。
③ AR空間での計測精度をUIが担保する。計測のコツをガイダンス提示し、習熟差をデザインで吸収した
各ステップで推奨する操作を画面上にガイダンスとして明示し、利用者が「今どの段階にいるか」を常に把握できるようにしました。撮影距離や角度など精度を左右する計測のコツも画面内で案内することで、検査経験や端末操作の習熟度の差を設計で吸収しています。

■デザインが生まれた背景
配筋検査は、鉄筋コンクリート構造物の安全性に直結する重要な工程でありながら、従来は検尺ロッドを使った複数人での手作業が中心でした。BAIASはこの検査をiPad ProとAR技術で刷新するアプリケーションとして2023年4月に提供を開始し、利用者の要望に応えて計測機能を拡充してきました。
一方で、機能を優先した開発を続けた結果、操作が複雑化し、利用者に高い学習コストを強いるアプリケーションになっていました。根本的な課題は機能や見た目ではなく、「仮想空間上にAR鉄筋を配置し、精度を伴う検査データとして取得する」という新しい概念を、現場でストレスなく理解してもらうことに失敗している点にありました。そこで2024年秋、GRIFFYとエコモットの混成チームで利用者の使用文脈を調べ直し、ユーザー体験をゼロから設計し直すプロジェクトを立ち上げました。約9カ月の検討と試作を経て、2025年7月1日に新しいUIを公開しました。
公開後、利用者からは「使いやすくなった」との声が多く寄せられ、一つの現場で使い終えた後に別の現場でも再び利用する動きが広がっています。
■BAIAS概要
BAIASは、鉄筋コンクリート構造物の配筋検査を1名でも行えるiPad Pro用アプリケーションです。iPad Proに搭載されたLiDARセンサーとカメラを活用し、鉄筋の本数・間隔・径、かぶり厚さ、重ね継手長、定着長、スペーサー個数を計測し、計測結果をAR表示した写真として保存します。国土交通省の実施要領に定められた計測項目に対応し、2025年4月には国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)で「活用促進技術」に選定されました(登録番号:CB-230022-VE)。
壁や床の鉛直・水平方向の配筋に加え、斜め方向の配筋、筒状の鉄筋かご、円弧状の配筋にも対応し、通信環境のない場所でも計測が完結します。計測データはクラウドに同期され、帳票出力や電子小黒板の管理を行えます。累計導入現場数は400を超え、BAIASを活用した工事が国土交通省「令和6年度インフラDX大賞」優秀賞を受賞するなど、発注者・施工者の双方から評価をいただいています。
配筋検査ARシステム「BAIAS」製品ページ
https://www.gembaroid.jp/product/baias.html
特設サイトはこちら
https://lp.gembaroid.jp/baias
■今後の展望
今回の受賞で評価された「専門性の高い業務を、説明なしで使える体験に設計し直す」という考え方を、GRIFFYが提供する他の現場向けアプリケーションにも展開していきます。BAIASについては、引き続き利用者の声をもとにUIの改善を進めるとともに、写真管理ツールやBIM/CIMツールとのデータ連携を推進し、建設現場のデジタル化を加速させてまいります。
■受賞展のご案内
受賞対象は、2026年度グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2026」に出展します。

■グッドデザイン賞について
グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本を代表するデザイン評価・推奨の仕組みで、公益財団法人日本デザイン振興会が主催しています。受賞のシンボルである「Gマーク」は、優れたデザインを示すマークとして広く親しまれています。
公式サイト:https://www.g-mark.org/
■株式会社GRIFFY プレスリリース
配筋検査ARシステム『BAIASⓇ』が「2026年度グッドデザイン賞」を受賞
https://griffy.co.jp/news/1163