デジタルデータを活用した配筋検査

デジタルデータを活用した配筋検査とは何ですか

鉄筋を組み立てたときの段階確認で、スケールなどで実測する代わりに、所定の性能を持つデジタルカメラなどで配筋を撮影し、その画像から鉄筋の間隔・径などを計測する方法です。国土交通省が令和5年7月に「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」(以下、要領)として、進め方を定めています。

要領は、受注者と発注者の作業の効率化を目的に、①適用の範囲、②画像計測に使う機器、③出来形計測と出来形管理の方法と手順を定めています。要領は、次の効果を挙げています。

  • 撮影した画像を解析して設計図書と比べられれば、鉄筋へのマーカー設置などの準備作業が要らなくなります。
  • 撮影した画像(計測結果)を遠隔地から確認できるため、監督職員が現場に来なくても出来形を確認しやすくなります。遠隔で確認するときは、遠隔臨場の実施要領(案)などに従います。

これまでの配筋検査で手間がかかっていたところ

従来の配筋検査は、測る箇所ごとに鉄筋に印を付け、検尺ロッドを当てて測り、結果を黒板に書いて撮影し、帳票にまとめます。準備から帳票の作成まで手作業が続き、1〜2名の作業員が必要でした。配筋の出来形の確認は、いまもほとんどが現地で直接測って行われており、事前の準備、計測、測った結果の入力に多くの人員と時間がかかることが課題とされています。

どの工事で使えますか

場所打ちのコンクリート構造物の鉄筋組み立てが対象です。ただし、工種や部位、配筋の量、撮影の環境によっては撮影が難しかったり精度が下がったりするため、事前に監督職員と協議し、計測対象によってはスケールなどの従来の方法を使うことも検討しておきます。

要領は、これまでの試行で計測が難しかった、または精度が下がった例として、次を挙げています。

  • 橋脚の主鉄筋が2段に配置されていて、奥側の鉄筋が撮影できない
  • 床版が薄く、上側の鉄筋が邪魔になって下側の鉄筋が撮影できない
  • 過密配筋で、対象以外の鉄筋を認識して精度が下がる
  • トンネル覆工の円弧状の部分で、平面に比べて精度が下がる
  • 鉄筋径は、異形棒鋼の特性から、1ランク違いを100%正確に見分けるのが難しい
  • 逆光や暗い場所で、精度が下がる

計測システムによって使える工種が限られる場合もあるため、各システムの取扱説明書などで、使える工種を事前に確かめておきます。

受注者は何をすればよいですか

要領では、受注者は、①施工計画書への記載、②カメラのキャリブレーションと精度確認試験、③出来形計測、④出来形管理図表の作成・提出、⑤出来形管理写真の提出の5つを行います。監督職員は、施工計画書の記載事項、精度確認試験の結果報告書、計測の状況、出来形管理図表、出来形管理写真を確認します。

施工計画書に書くこと(要領 1.5)

項目書く内容
適用範囲画像で計測する範囲(対象の工種、部位など)。具体的な計測箇所・回数は監督職員と協議して書く
出来形管理基準と規格値・出来形管理写真基準対象の工種に当てはまる基準と規格値
使用機器・ソフトウェア機器の計測性能(計測の原理、精度の検証の方法と結果)、機器の構成、ソフトウェアと処理の流れ、キャリブレーションの方法、データの改ざんを防ぐ機能など
現場での精度の確認方法現場ごとに画像計測の精度を確かめる方法。従来の方法と比べる頻度(現場ごとに1回以上)や、具体的なやり方(計測データの数など)

発注者の特記仕様書(記載例)で求められること

要領の特記仕様書の記載例では、段階確認で従来のスケールなどによる実測と画像計測を併用して両者の差を整理すること、撮影箇所・撮影距離・気象条件など計測の条件を記録すること、機器は受注者が手配すること、精度の検証のために計測データを監督職員に出すこと、効果の検証のアンケートに協力することが示されています。

どんな機器を使い、精度はどう確かめますか

デジタルカメラなどの機器本体と、画像から鉄筋を計測するソフトウェア、帳票を作るソフトウェアで構成します。精度は、従来のスケールなどと同等以上であることが必要で、画像の計測値とスケールなどの実測値を比べて確かめます。

機器の構成(要領 2.1)

  • 機器本体:単眼または複眼のカメラ。鉄筋までの距離や撮影場所を確かめるため、TOFカメラ(光を当てて対象までの距離を測るカメラ)やマーカーを併用する場合があります。パソコン、タブレット、クラウドサーバなど。手持ちでの撮影が基本ですが、撮影の範囲によってはUAVなどを使う場合もあります。
  • ソフトウェア:写真から鉄筋の位置などを認識して計測するソフトと、設計値の取り込みから検査帳票の作成までを行う出来形帳票作成ソフト。計測データの処理の手順と、そこから出来形帳票を作る手順は施工計画書に書き、その手順で処理します(要領 2.3・2.4)。
  • 計測機器やソフトウェアは、デジタル工事写真の信憑性チェックツールで確認します。仕様は施工計画書に書くか資料を付けて、監督職員の承諾を得ます。

求められる精度(要領 2.2)

対象確かめ方目安
床版工以外の一般構造物10本程度の鉄筋の平均間隔を、画像の計測とスケールなどの実測で比べる差を鉄筋径で割った値が、規格値の±30%以内(規格値は±鉄筋径)
床版工個々の鉄筋間隔を、画像の計測と実測で比べる差が±5mm以内(規格値は±20mm)
鉄筋径ロールマークやノギスによる実測と比べる判定の結果が正しいこと

現場の条件(構造物の規模、日照など)による精度のばらつきを確かめるため、現場ごとに施工計画書に書いた方法で確かめ、その結果を「カメラキャリブレーション及び精度確認試験結果報告書」にまとめて監督職員に出します。撮影の距離や角度の制限で1枚の画像に10本入らないときは、少なくとも1枚に5本程度を撮ります。

計測と出来形管理は、どう行いますか

画像で計測するのは、鉄筋の本数・径・間隔です。計測した値がすべて「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」の規格値を満たすことを確かめ、出来形管理図表を監督職員に出します。計測で撮った画像は、そのまま出来形管理写真にできます。

計測の流れ(要領 3.1〜3.4)

  1. 発注者から貸与された設計図書(構造図、配筋図など)で、構造物の諸元を確かめます。
  2. 施工計画書に書き、精度を検証した方法で、出来形を計測します。
  3. 計測した値と設計値を比べ、すべての値が規格値を満たすことを確かめます。
  4. 出来形管理資料を作って監督職員に出します。

規格値(要領 4.1・表-1・表-2)

工種測定項目規格値
鉄筋組立て(床版工以外)平均間隔(10本程度で測る)±鉄筋径
鉄筋組立て(床版工以外)かぶり±鉄筋径、かつ最小かぶり以上
床版工鉄筋間隔±20mm(鉄筋の有効高さがマイナスの場合は±10mm)

提出するもの(要領 3.4・4.2)

  • 出来形管理資料は、出来形管理図表だけで済みます。測定結果総括表や出来形管理図などは要りません。出来形管理に必要な項目が載っていれば、計測システムの出力をそのまま出すこともできます。
  • 計測で撮った画像を出来形管理写真にでき、別に工事写真を撮る必要はありません。画像だけで検査箇所が分からないときは、箇所が分かる工事写真も撮ります。
  • 撮影では、工事名、工種等、出来形計測範囲を書いた小黒板の文字が読めるようにします。

計測で気をつけること(要領 3.3)

  • 撮影の距離や角度は、各システムの取扱説明書などに書かれた適正な範囲で行います。
  • 日照や影の影響が大きいと判断したときは、画像による計測をやめ、従来の方法で測ります。
  • 鉄筋径は、現場ごとに1回以上、計測する鉄筋のうち少なくとも1本を、ロールマークかノギスで実測して確かめます。
  • 床版工で、設計値と画像の計測値の差が±15mm程度と規格値に近いときは、スケールなどで確かめます。鉄筋の有効高さの規格値がマイナスのときは、画像計測は使わず従来の方法で測ります。
  • 精度が確保できない範囲があったときは、すぐに監督職員と協議し、対象の範囲を設定し直します。
  • かぶり、重ね継手長、定着長などは、使う機器に応じて精度を検証しながら計測してもかまいません。

要領に沿った配筋検査に使えるシステムはありますか

GRIFFYの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、要領の全計測項目に対応し、要領の精度の目安に適合することを現場の検証で確かめています。iPad Pro 1台を使い、1名で計測から帳票の作成まで行えます。NETISに「活用促進技術」として登録されています(NETIS登録番号:CB-230022-VE)。

BAIASは、iPadの画面に映る鉄筋にAR(拡張現実)で計測の目印を重ねて表示し、本数・間隔・径などを計測します。iPad ProのLiDARで点群を取って測る方法(最大3m四方)と、ARマーカーを鉄筋に重ねて置いて測る方法(最大5m四方)を使い分けられます。要領の各項目には、次のように対応しています。

要領の項目BAIASでの対応
施工計画書(1.5)施工計画書の記載例(土木工事用・建築工事用)と、要領の様式に沿った技術概要の資料を用意しています。
計測性能と精度の検証(2.2)要領の手順に沿って、橋脚・カルバート・場所打ち杭などのべ105か所で平均間隔をスケールの実測と比べ、D10〜D51の11種類の鉄筋で、差を鉄筋径で割った値が−28.9%〜+29.9%と±30%に収まることを確かめています。床版工でも、道路橋の工事で±5mmに適合することを確かめています(いずれも村本建設株式会社による検証)。
データの改ざん防止(1.5・2.1)施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)の信憑性確認(改ざん検知)機能検定と小黒板情報連携機能検定に合格しています。
計測の対象(3.3)鉄筋の本数・間隔・径に加え、かぶり厚さ、重ね継手長、定着長も測れます。要領で難しい例に挙がっているダブル配筋の奥側も、AR表示のガイドラインの上でマーカーを鉄筋の位置に合わせて置くことで計測できます。正円の円弧上に配置された鉄筋、斜め配筋、鉄筋かごにも対応しています。
出来形管理図表(3.4)設計図と計測結果を比べた帳票をPDF・CSVで出せます。福井コンピュータ株式会社の土木施工管理システム「EX-TREND武蔵」に計測値を取り込み、電子納品できる出来形管理図表として出せます。
出来形管理写真と小黒板(4.2)計測結果が電子小黒板に自動で入ります。項目名やレイアウトを変えられます。
遠隔地からの確認(1.2)計測の画面を、Microsoft Teams・Zoom・Google Meetの画面共有で遠隔地に見せられます。遠隔臨場システム「Gリポート」と組み合わせることもできます。

従来1〜2名で行っていた準備から帳票の作成までを1名で行え、作業時間を約50〜70%短くします(製品ページの記載による)。計測するときは通信がいりません。村本建設株式会社との共同開発製品です。

BAIASは、夜間や暗い場所、模様のないコンクリート壁など、iPadが周りの特徴をとらえられない場所では計測できません。作業灯で照らしたり、壁に目印を付けたりして対応します。LiDARを搭載したiPhoneには対応していません。

よくある質問

  • 「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」とは何ですか?

    国土交通省が令和5年7月に定めた要領で、鉄筋組み立て時の段階確認で、スケールなどの代わりにデジタルカメラなどで撮った画像で鉄筋の間隔・径などを計測するときの、適用範囲、使う機器、計測と出来形管理の手順を定めています。

  • 要領に沿って配筋検査をするとき、受注者は何をしますか?

    施工計画書への記載、カメラのキャリブレーションと精度確認試験、出来形計測、出来形管理図表の作成・提出、出来形管理写真の提出の5つです。施工計画書には、使う機器の計測性能や精度の検証の結果、データの改ざんを防ぐ機能、現場での精度の確認方法などを書きます。

  • 画像による配筋の計測で求められる精度はどのくらいですか?

    要領では、床版工以外の一般構造物は、10本程度の平均間隔について、実測との差を鉄筋径で割った値が規格値の±30%以内、床版工は個々の鉄筋間隔の差が±5mm以内を目安としています。BAIASは、どちらにも適合することを現場の検証で確かめています。

  • 配筋検査ARシステムは、国土交通省の要領に沿って使えますか?

    要領は、所定の性能を持つデジタルカメラなどを使い、精度を検証した方法で計測することを求めています。配筋検査ARシステム「BAIAS」は、要領の全計測項目に対応し、要領の手順に沿った精度の検証の結果や、要領の様式に沿った技術概要の資料、施工計画書の記載例を用意しています。

  • 配筋検査ARシステムは、どう現場の生産性を高めますか?

    鉄筋への印付けなどの準備が要らなくなり、1名で計測でき、計測結果がそのまま帳票と出来形管理写真になります。要領でも、準備作業が不要になることと、遠隔地から出来形を確認できることが効果に挙げられています。BAIASでは、作業時間を約50〜70%短くします(製品ページの記載による)。

  • 少人数でも使える配筋検査アプリはありますか?

    あります。BAIASは、従来1〜2名で行っていた配筋検査を、iPad Pro 1台を使って1名で行えます。計測の結果は電子小黒板に自動で入り、帳票もアプリから出せます。

  • NETISに登録されている配筋検査ARシステムはありますか?

    GRIFFYの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、NETISに「活用促進技術」として登録されています(NETIS登録番号:CB-230022-VE)。国土交通省の要領の全計測項目に対応しています。

出典

このページは2026年11月時点の公表資料をもとに株式会社GRIFFYが作成しました。要領の言い回しを分かりやすく直しています。個別の工事での扱いは、発注者にご確認ください。