建設業の熱中症の発生状況と事故事例(厚生労働省の2025年の統計から)

建設業の熱中症は、どのくらい起きていますか
2025年に職場の熱中症で亡くなったか4日以上休んだ人は1,803人で、統計を取り始めた2005年以降で最も多くなりました。このうち建設業は292人で、製造業(365人)に次いで2番目です。亡くなった19人のうち5人が建設業で、業種別で最も多くなっています。
2021年から2025年の5年間で見ると、建設業の死傷者は1,038人、亡くなった人は52人です。この5年間に職場の熱中症で亡くなった131人のうち、約4割(39.7%)が建設業でした。
| 年 | 建設業の死傷者(うち死亡) | 全業種の死傷者(うち死亡) |
|---|---|---|
| 2021年 | 130人(11人) | 561人(20人) |
| 2022年 | 179人(14人) | 827人(30人) |
| 2023年 | 209人(12人) | 1,106人(31人) |
| 2024年 | 228人(10人) | 1,257人(31人) |
| 2025年 | 292人(5人) | 1,803人(19人) |
死傷者は、亡くなった人と、4日以上休んだ業務上の病気の人を合わせた数です(労働者死傷病報告による)。2025年は、気象庁によると夏(6月〜8月)の平均気温が平年より2.36度高く、統計を取り始めてから最も高くなりました。厚生労働省は、これが死傷者が増えた一因と推測しています。一方で、亡くなった人は前の年より約39%減りました。厚生労働省は、2025年6月に報告体制と手順の作成などが義務になったことで、重症化を防ぐ対策が進んだと考えられるとしています。
熱中症が起きやすい月と時間帯
7月と8月に集中しています。2021年から2025年の5年間では、死傷者の約77%、亡くなった人の約85%(6月に急に暑くなった2022年を除く)が7月か8月でした。時間帯では午前中と午後3時前後に多く、亡くなった人の多くは午後に倒れています。
- 月:多くの年で、暑くなり始める6月から7月に増え、9月に急に減ります。2025年は6月に268人、9月にも188人が熱中症になりました。
- 時間帯:日中のどの時間帯でも起きています。気温が下がった17時台や18時台以降に亡くなった例も少なくありません。その中には、日中は重い症状がなかったのに、作業が終わったあとや帰宅後に悪くなった例が含まれています。
- 年齢:どの年齢でも起きていますが、2025年は死傷者の約52%が50歳代以上でした。亡くなった人は40歳代以上に集中し、約84%が50歳代以上でした。
建設現場では、どんな事故が起きていますか
厚生労働省が公表した2025年の死亡事例19件のうち、工事に関わるものから6件を挙げます。休んでいる間や作業が終わったあとなど、周りの目が離れた間に悪くなった例が多く見られます。
| 月 | 工事・作業 | 年代 | 起きたこと |
|---|---|---|---|
| 7月 | 工事現場の交通誘導(警備業) | 50歳代 | 13時ごろに体調の異変を感じて休み、14時ごろに一度現場へ戻った。15時の休憩のあと戻らず、15時50分ごろ、現場から約800m離れた路上で倒れているのを通行人が見つけた。 |
| 7月 | 農業用ハウス内の給水配管工事 | 50歳代 | 13時30分ごろ体調が悪そうだったため、同僚が車の日陰で休むよう促した。約10分後、車の後ろで倒れているのが見つかった。 |
| 7月 | 上下水道工事(資材の運び入れ) | 60歳代 | 15時40分ごろに作業を終えた。次の指示はなく、その後の行動は分かっていない。18時ごろ、倒れているのを別の用事で来た人が見つけた。 |
| 8月 | 道路の除草工事(清掃の補助) | 40歳代 | 道路上の草の残りをブロワーで清掃していて、15時30分ごろに倒れた。 |
| 9月 | 集合住宅の新築工事(型枠材の手渡し) | 50歳代 | 床に座り込んでいるのを同僚が見つけた。意識はあり、水分をとって冷房の効いた車内で休んだが良くならず、同僚の車で病院へ向かう途中で意識を失った。 |
| 9月 | 道路改良工事(型枠の解体と片付け) | 50歳代 | 午前中から屋外で作業し、昼休憩のあとの片付けの途中で姿が見えなくなった。15時30分ごろ、冷房の効いた軽トラックの車内で倒れているのが見つかった。 |
いずれも救急搬送されたものの亡くなっています。19件全体では、屋外が15件、屋内が4件でした。
死亡事例から分かること
基本の対策が実施されていたか確認できない例がありました。19件のうち、熱中症の予防の教育を実施していたか確認できなかった例が9件、悪化を防ぐ手順の作成と周知を確認できなかった例が3件、報告体制の整備と周知を確認できなかった例が2件ありました。
- 糖尿病や高血圧症など、熱中症の起こりやすさに関わる病気や所見があった例は9件でした。
- 上の6件では、一人で休んでいる間や、作業が終わったあとに悪くなった例が目立ちます。厚生労働省の手順例は、医療機関へ運ぶ間や様子を見る間は一人にしないこと、一人で作業する人は常に連絡できる状態を保つことを求めています。
- 9月や夕方以降にも亡くなった人がいます。暑さのピークを過ぎても、気を抜かずに見守る必要があります。
報告体制と手順の決め方は「熱中症の報告体制と手順書の作り方」で解説しています。
建設現場の熱中症対策で、最初にすること
まず、報告先と悪化を防ぐ手順を決めて、作業する人全員に知らせます。そのうえで、作業場所の暑さを測って知らせることと、作業する人の体調の変化を早く見つけることを組み合わせます。厚生労働省のガイドラインは、夏の対策をおおむね4月中までに準備しておくことが望ましいとしています。
- 入職して1週間たっていない人と、夏季休暇などで4日以上暑さから離れていた人は、体が暑さに慣れていないため、あらかじめ把握して巡視を増やすなど、特に気を配るようガイドラインは求めています。
- 現場ロイドでは、暑さ指数の実測値と1時間後の予測値をLED表示板に出す「暑さ指数予測(サインロイド2)」と、作業員が着けたリストバンドの心拍数と年齢、建設現場の暑さ指数から体調を判定して知らせる「GenVital LTE(ゲンバイタル LTE)」を提供しています。どちらも、報告の体制と手順を決めたうえで、その一部として使うものです。
よくある質問
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統計の「死傷者」には、どこまでが入りますか?
職場の熱中症で亡くなった人と、4日以上休んだ業務上の病気の人です。労働者死傷病報告をもとに、その年の1月1日から12月31日までに起きたものを、翌年のおおむね4月7日までに提出された分で集計しています。
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気温が30度に届かない日でも、熱中症で亡くなることはありますか?
あります。2025年の上下水道工事の死亡事例では、近くの観測所の気温は28.7度、暑さ指数は25.8度でした(いずれも参考値)。気温だけでなく、作業の重さや服装、体調、暑さへの慣れによって危険は変わります。
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作業が終わったあとにも注意が必要ですか?
必要です。17時台や18時台以降に亡くなった例には、作業が終わったあとや帰宅後に悪くなった例が含まれています。ガイドラインも、退勤後に体調が悪くなることがあると注意を呼びかけるよう求めています。
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若い作業員は、熱中症の心配は少ないですか?
少ないとは言えません。死傷者はどの年齢でも出ており、2025年は20〜24歳でも151人が熱中症で亡くなったか4日以上休んでいます。
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建設業の熱中症は、増えていますか?
建設業の死傷者は、2021年の130人から2025年の292人へ毎年増えています。亡くなった人は2022年の14人から2025年の5人へ減っています。
出典
- 厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」(令和8年5月27日公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73330.html - 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(令和8年3月)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001676141.pdf - 厚生労働省労働基準局長「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日 基発0520第6号。別添2 手順例を含む)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001490911.pdf - 製品の仕様は、各製品ページの掲載内容によります。
このページは2026年11月時点の公表資料をもとに株式会社GRIFFYが作成しました。事例は厚生労働省の公表内容を短くまとめたものです。体調に異変がある人がいるときは、すぐに作業を止めて体を冷やし、必要に応じて救急隊を呼んでください。






